「森から海へ」でペットフードアドバイザーと
事務局を兼任しております、小島です。
今回は【犬猫と鹿の食事】をテーマに
執筆させていただきます。
私は2013年から2019年まで
動物病院で看護師として働いていました。
この期間で関わった動物は犬や猫はもちろん、うさぎ、
フェレット、ハムスターにモルモットなど様々ですが
ここに挙げた子たちの主食は多くの場合が
「ペットフード」です。
それに対して、
私が麻布大学に在学していたころに研究対象だった、
野生のニホンジカは葉っぱを自分で選んで食べます。
前者と後者ではどちらが恵まれた食生活なのか。
それは単純に比較できることではありませんが、
フードを与えられた子たちの方が安定した食生活で、
健康に暮らしているようなイメージを持つことが
一般的な考えのように思います。
しかし、少し視点を変えてみると
そうとも限らないように考えることができます。
まず、犬や猫にとペットフードについてです。
動物病院では残念ながら
病気の宣告も飼い主さんにしなければならず、
何度もその場面に居合わせた経験があるのですが、
多くの飼い主さんは
「うちの子にはペットフードしか与えていないのに
どうして病気になったのですか」
と獣医師に尋ねます。
お水とフードさえ与えておけば
健康に過ごせると書かれた商品が多くあるので、
飼い主さんが疑問に思うのも無理はありません。
しかし、フードだけの生活で
病気になる子もいるというのが現実です。
(同様の生活で病気にならない子もいます。)
次に、葉っぱを食べて生きている草食動物の
ニホンジカについてです。
ニホンジカは今、
森の植物を食べ尽くす勢いで葉っぱを食べています。
葉っぱがなくなれば、
本来は緑の少ない冬にしか食べないはずである
樹皮や落ち葉も食べます。
その結果、
栄養状態を維持したシカたちは繁殖に至り、
個体数を増やして農作物などに被害が出て
農業の継続が難しくなっている地域もあるほどです。
シカたちは自身が食べたいと思った葉っぱしか
食べていないにも関わらず、です。
前述の通り、これらは単純に比較して
どうこう言える問題ではないと思います。
しかし、計算された食事ではなく
シカがシカ自身で選択した葉っぱだけを食べて
個体数を増やし続け種を存続していることを考えると、
フードだけを与えられる環境にいる愛玩動物たちが
必ずしも恵まれた食生活で暮らしているようには
私には思えないのです。
もちろん、
「鹿のめぐみ」を販売にも携わっていますので、
ペットフードの否定がしたいわけではありません。
私は様々な食材から色々な栄養素を摂取することで
健康に繋がるという考えを持っているので、
「健康にいいらしいから一生このフードだけ!」
という考え方ではなく、
たまにはご自宅のわんちゃんやねこちゃんの
「食べたい!」を聞いてあげて、
好きなものを食べてもらうことも
健康に繋がる一つの手段ではないかと考えています。